園だより:2017年5月
『私の心が私を動かす』
樹木ごとに色合いの違う若葉が折り重なり、眩しく爽やかな季節を迎えました。
入園して3週間あまりの年少組の子ども達ですが、たくましいほどの順応ぶりに驚いています。しばらくは泣き続けるかもしれないと覚悟をしていた子も、3日目には「もう泣かない」と登園したり、まだ涙の子も別れ際だけで、気づけばにこにこブランコをこいだりしています。一方、年中・年長組の子どもたちも、うんていや登り棒が次々とできるようになるなど、名札の色が変わっただけでこんなにもたくましくなるのかしらと、目を見張る毎日です。
先日、園庭にテニスコートからボールが飛び込んできました。それを見つけた年長組の男の子が、さっと拾って登り棒に向かいました。てっぺんまで登ると、ポロシャツのポケットからボールを取り出し、「おにいちゃ~ん」と大声を張り上げ、その声に気付いた高校生に勢い良く投げ返したのです。もちろんテニスコートまでは届きませんでしたが、困っているであろう高校生のことを思い、登り棒の上から投げ返してあげようと考えた、その発想と優しさ、行動力には脱帽でした。
その男の子の姿に、先日読んだ本に出てきた小学校4,5年生の女の子の姿が重なりました。ある母子が突然の雨に合い、八百屋の軒先で雨宿りをしていた時の話です。道路の向こう側を雨の中、おばあさんが手押し車にもたれるように歩いているのが目に留まり、「あっ!おばあちゃんが・・・。」と母親が声をあげました。すると女の子がとっさに店の奥に行き、傘を1本借りてくるなり外へ飛び出し、おばあちゃんに走り寄って傘を差しかけてあげたのです。自分の肩や背中が濡れるのも気にせず、ゆっくり自宅まで見送って20分ほどして戻ってきたのでした。店の人が「偉かったねえ!」と声をかけると、「私の心が私を動かしただけ…。ただ、それだけです。」とにっこり答えた女の子。母親は「私が行こうと思ったのに、いつものようにあなたが早かったわね。」と話しかけ、2人は雨宿りのお礼を言って帰っていったという内容でした。
この女の子の家では、困っている人を見かけたら、すぐさま手を差し伸べることが当たり前のこととして行われているのでしょう。テニスボールを投げ返した男の子と傘を差し掛けた女の子。勇気ある思いやりの行動をすぐに起こせた2人に、大きな拍手を送りたいと思います。そして、困っている人を見かけたら、すぐさま手を差し伸べられる子ども達にぜひとも育てていってあげたい、2人のように私たち自身がフットワーク軽く行動を起こしたい、と思っています。 園長 岡田 喜
保育のねらい
[年少組]
- 園生活のリズムを身につけ、身の回りのことを自分でしようとする。
- 好きな遊びを見つけて、安心して過ごす。
[年中組]
- クラスや学年で一緒に行う活動を楽しみにし、保育者や友だちとかかわる中で安心して過ごす。
- 保育者と一緒に自分の気持ちを相手に言葉で伝えようとする。
[年長組]
- 友だちや保育者と好きな遊びを共有し、クラスの仲を深める。
- 周りの状況に目を向けながら、遊びと活動のけじめをつけて過ごす。
今月の徳育
[年少組]
- 園での約束事を守ろうとする。(おもちゃの片付け、話を聞く姿勢、返事など)
[年中組]
- 感謝される喜びを感じ、「ありがとう」と言葉で伝えようとする。
[年長組]
- 相手の気持ちを考えながら、異年齢児や様々な人との交流を楽しむ。