園だより:2017年夏休み
『広くて柔らかいゆるす心』
先日、父母の会主催の講演会が遊戯室にて開かれました。「次世代を担う子どもたちの心の軸足を育てよう~愛情ある一言が心を育て未来を築く~」と題して、モラロジー研究所社会教育講師の北山正弘先生が、ご体験を交えながらご講演下さいました。
先生は、17年前に新宿の繁華街でバイクに跳ねられ、左足は粉砕骨折、陥没した副鼻腔と左膝は人工骨で補う意識不明の重体となりました。「お父さん!」と呼ぶ声で目覚めた時、涙する奥様や事故を起こしておびえる青年とそのご両親の姿が目に入ってきたとのこと。激痛の中、先生は青年に掛ける一言の重みをとっさに痛感し、ご両親の教えがよみがえってきたそうです。“亡くなったおじじおばばが喜ぶか悲しむかを考えなさい。喜ぶと思ったらどんなことでもやってよいが悲しむと思ったら絶対やってはいけない。ご先祖様は必ず見てなさる”…出てきた言葉は「けがしなかったか」でした。極限状態の中にあっても、人を責める前に自分にも非があったことを認め、身の振り方を省みられた先生。青年をゆるしたその一言は、その後、28人の暴走族のリーダーであったその青年と、仲間をも立ち直らせてしまったのです。
「“三つ子の魂百までも”の正しい意味は、3歳までにおじいちゃんおばあちゃん、ご先祖様が喜ぶかどうか、という判断基準を子どもに植え付けてあげること。そのためには、ご先祖様に手を合わせる姿を親の後ろ姿で示してあげることが大切でしょう。また、わが子はもちろん家族や周りの人に対しても、傾聴し、受容し、共感する“広くて柔らかいゆるす心”で過ごすことが大切です。」との先生のお話。体験談に涙こぼれ、子ども達の心の軸足をしっかり育てていこうと、一人ひとりが心に刻みました。
早いもので1学期も今日で無事に終了し、年長組のお泊まり会を来週に残すのみとなりました。この3ヶ月の子ども達の成長は目覚ましく、それもこれも保護者の皆様のご協力あってのことと、心から感謝申し上げます。明日からの夏休み、親子の絆を更に深める絶好のチャンスです。大手企業の採用試験では、成績やどこの大学出身かよりも、家族の絆を判断基準に見ている、という北山先生からのお話もありました。一日一日の積み重ねによる親子の絆は、何物にも変えがたい宝物となり、生きる力になることでしょう。夏ならではの体験を重ね、またひとまわり大きくなって2学期が迎えられますように、そしてぜひお盆にはご先祖様のお墓参りに出かけ、命のつながりに感謝する機会が作れますよう願っております。
園長 岡田 喜