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園だより:2018年夏休み

園だより

『母鶏から教わったこと』

 7月7日七夕の日、6月初めに仲間入りした「碁石チャボ」の雛が誕生しました!ちょうど2週間前、数日かけて産んだ卵を、母鶏があたため始めていました。有精卵なら2週間後、ちょうど七夕の日あたりに雛の誕生となるかもと、私たちも密かに期待をしていました。雛誕生の知らせに、私も出張から飛んで帰ってきました。そっと覗くと、母鶏の羽の下からかわいい雛が一羽、顔を見せてくれたのです!ナント、雛は母鶏と同じ“碁石色”。雛はすべて“黄色”だと思い込んでいましたから驚きでした!良く見ると、黄色い雛も産まれていました。母鶏は、少しでも危険を察知すると、さっと自分の羽の中にわが子をかくまっていました。

この雛誕生の出来事に、4年前保育研修会で学んだ「啐啄同時」という言葉を思い出しました。『鶏のヒナが卵から生まれ出ようとする時、殻の中から卵の殻をつついて音をたてることを「啐(そつ)」と言い、その時すかさず親鶏が外から殻をついばんで破ることを「啄(たく)」と言う。この「啐」と「啄」が同時であってはじめて、殻が破れて雛が産まれる。』これを禅の言葉で「啐啄同時(そったくどうじ)」と言うそうです。雛誕生の裏には、こんな感動のドラマがあるのです。わが子に心を寄せる母鶏の想いは、チャボも人間も同じであることを実感したことでした。結局、碁石色の雛は病弱だった様子・・・。黄色の雛が元気に育ってくれますよう、祈りたいと思います。

ここまで原稿が出来上がった後、悲しい事件が起こりました。鶏舎に蛇が襲来したのです。母鶏は蛇からわが子を守り抜き、自分が犠牲になってしまったのです…。自然豊かな学園内ですから、蛇も当然住んでいます。蛇襲来を予測して対策がとれていなかったことが本当に悔やまれ、母鶏と雛に心から詫びました。改めて危機管理の大切さを思い知らされました。それにしても、体を張ってわが子を守り抜いた母鶏は、何と勇敢で逞しく強かったのでしょうか。私自身、子ども達をはじめ、保護者の皆さんや教職員たちを、何があっても麗澤幼稚園の母として守っていかなくてはと、母鶏の勇敢な姿から教わりました。

いよいよ明日から夏休みです。夏休みはお子さんとじっくりと向き合い、家族の絆を一層深められる絶好の時間でもあります。この1学期に身に付いた挨拶・返事・整理整頓のよい習慣は、ぜひ持続して過ごしましょう。夏ならではの自然体験やご先祖様へのお墓参りなど、貴重な体験ができますよう願っています。

園長 岡田 喜